備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

新着雑誌

 といっても、私の手元に届いたものではない。
 絶対必要だという決断が付けばコピーをとりよせるのだが、そうでなければ普段は、生命倫理の雑誌も、科学史の雑誌も、STSの雑誌も、ネットで見られる目次以上に進んで読むことはない。
 そんな中で、たまたまフリーアクセスだった下記の論文を発見。
 http://jme.bmj.com/cgi/content/full/35/10/616
 脳死をめぐる現代の状況に関する根本的見直しの必要性を述べたもの。1970年代のハンス・ヨナスの議論にまでさかのぼる必要はないと思うのだが、英語圏ではそのくらい脳死臓器移植それ自体に関する異論が少ないということだろうか。「脳死は人の死」であるというのがフィクションだとわかってきたので、「脳死移植を進めるべき」と「人を殺してはならない」のどちらかを捨てなければならないという状況にあるというのは、そのとおりだと思う。そこから先が、じゃあ後者を取り下げようというふうにわりと簡単になってしまいそうなのが、どうしてもよくわからないのだが。安楽死の法制化が急激に進んでいることとリンクさせて考えてしまう。