備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

『コミュニタリアニズムの世界』刊行記念シンポジウム開催

 本日はこちらに参加します。
 http://public-philosophy.net/archives/1198
 執筆者全員参加ということですね。コメンテータで「婚姻制度廃止論者」の森村氏に会うのは初めてです。興味深い話が聞けそうです。
 ところで、終章で菊池理夫氏が私の書いた第6章を紹介してくれています。これで読まずにわかる!?

 第6章「生命倫理コミュニタリアニズム」は、サンデルがブッシュ大統領のときに大統領生命倫理評議会の委員を務めたことから、生命倫理に対する彼の政治哲学をまとめた『完全な人間を目指さなくてもよい理由』の主張をコミュニタリアニズムの観点からのものとして評価したものである。林真理によれば、生命倫理において主流派の主張は「自立性と自己決定権を重視したリバタリアニズムを含むリベラリズム」であるが、それを批判するものとして「保守主義あるいは伝統的死生観に基づく生命倫理」が対抗してきた。サンデルの議論はこの対立軸とは異なる「第三の道」を提供しているものである。その中心的観念は「贈り物としての生命」であるが、それはリベラルのような自己決定権に基づく生命を批判する根拠となるものであり、また保守派のような特定の宗教や共同体に基づく倫理に依拠するものでもない。
 私にとってとくに興味深いのは、このサンデルの「贈り物としての生命」は予測不可能な他者を受け入れるという「ケアの倫理」や、自分の存在を絶対化せずに、「他者との交わり」によって自己が形成され、これからもそのように変化していく「負荷ある自己」に関連するものとして論じていることである。(省略)

 本は以前にこのブログでも紹介しました。下記リンク先です。
http://d.hatena.ne.jp/hayashi9192/20140115