備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

メダカコレクションを見せてもらいました(ローカルこそグローバル)

 先週訪問した新潟大学では、メダカのコレクションを少しだけ見せてもらいました。コレクションといっても趣味の逸品というわけではなく、「ナショナルバイオリソースプロジェクト」つまり実験用生物として国のプロジェクトで管理されているものです。いただいたパンフレットによれば、プロジェクトの中心は基礎生物学研究所ですが、大学としては新潟大学が最も重要な役割を果たしているようです。また新潟大学では、凍結細胞を保存するのではなく、生体として保存することが重要という方針を採っているそうです。たしかに飼育のノウハウなど研究に必要な情報は、実際に生体を飼育してこそ継承される部分があるだろうと想像しました。海外からも研究材料として問い合わせのある珍しいメダカもいるそうですが、素人にはただのメダカにしか見えないのが残念でした。
 ライス・フィッシュとも呼ばれ、日本の代表的な淡水魚であるメダカを、日本一の米生産地域の大学が中心となって研究するのは、まさに地域の特性に合致します。そしてそういう一見ローカルな研究だからこそ、他にはない特色が生じて、国の事業にもなり、海外からの引き合いもあるわけです。まさにローカルであってこそのグローバルです。
 大学の近所に住み、電車にもめったに乗らないという学生たちにも、大学という場には世界へとつながる入り口があることをたくさん知って欲しいと思いました。