備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

終了

イベント「市民が考える脳死・臓器移植」は、足かけ4日間の全日程を終了。
http://www.i.dendai.ac.jp/~wakamats/dialogue/

 ところで、毎日新聞は以下のような記事を掲載している。
脳死移植:「提供者本人の意思表示必要」 市民団体が提案」
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/medical/news/20050306k0000m040056000c.html
 とりあえずこの記事の表題にある「市民団体が・・・」というのは、やはりミスリーディングだろう。公募で集まった互いに初対面同士の「市民パネル」を「市民団体」と称するのは難しい。
 記事の中身も同様だ。最後に次のようなくだりがある。

同研究会は科学技術政策を専門とする研究者約30人で03年に発足、科学技術政策の作成に市民が参加するための手法を研究している。今回は応募してきた市民16人に議論してもらい、提案内容をまとめた。

 こちらも、普通に読むと、提案をまとめたのは「研究会」であるように読める。まとめたのは市民16人(市民パネル)なのだが。
 そもそも「市民参加研究会」のメンバーのほとんどは、代表を初めとして、決して脳死・臓器移植問題そのものに関心があるわけではない、というのが(善し悪しは別として)このイベントの大きな特徴だ。問題に関心があるのは、むしろ公募で集まった市民の方である。だから提案内容をまとめたのが研究会であるかのように読まれてしまうと、このイベントの基本的な構造が誤解されてしまう可能性がある。記者を前にしての提案の読み上げを、市民パネルが行えばひょっとすると誤解が防げたかも知れない、と今になって思う。
 実は1月の最初の回の日に流れたNHKのローカルニュースでも「主催した研究会は3月までに提言をまとめることにしています。」と述べていて、そのときも気にならないではなかった。こんなふうに続くと誤解の根深さがわかるし、市民パネルに対しても申し訳ない気持ちになる。