備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

センター試験公民「倫理」第5問の問5

 下線部eの脳死に関して、日本の臓器移植法で採用されている定義として最も適当なものを、次の(1)〜(4)のうちから1つ選べ。
(1)脳死とは、心臓の拍動が停止するとともに、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止した状態のことである。
(2)脳死とは、心臓の拍動が停止するとともに、脳幹を除く全脳の機能が不可逆的に停止した状態のことである。
(3)脳死とは、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止した状態のことである。
(4)脳死とは、脳幹を除く全脳の機能が不可逆的に停止した状態のことである。

「臓器の移植に関する法律」の6条2項は、「前項に規定する「脳死した者の身体」とは、その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者であって脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたものの身体をいう。」となっているので、これに沿った脳死の正しい定義は「その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者であって脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定された」ということだと思う。ついでに、3項以下も読めば、「判定」の仕方にいろいろ限定がつくことがわかる。でも、どれが「最も適当」かといえば多分(3)に違いない。
 選択式の入試問題を作るのは、とても難しい。
 新課程の「現代社会」「倫理」の教科書を見て、「生命」「環境」分野の妙な充実ぶりにちょっと違和感というかむしろ危機感を感じていたので、入試問題も気にしており、目についた。