備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

JABEEのためだから・・・

 学生のサボタージュ行為(と教員の側から見られるもの)というのは、その行為を強いられることに対する不服の表明である場合があると思う。意味の感じられない作業に手間をかけることについて、消極的な拒否反応を示すのは当然だ。そういうことにまったく考え及ばず、近頃の学生は決められた書類の提出も満足にできないとしか捉えられないとしたら、教育者としての感性が鈍いとしか言いようがないだろう。
 近頃 「技術者の品質保証」ということを言う人がいて、そういう考え方はたしかに大局的な見地からは重要なのかも知れないとも思うのだが、仮にそうであったとしても、そういった考え方が教育現場に形式的に降りていった場合、学生の側は自分が個として(あるいは「人間」として)扱われていないという感覚を持つことになる恐れがあるのではないだろうか。これは不幸なことだと思う。教える側が教育そのものよりも教育システム作りの方に時間や心を奪われているという事態を、学生は察知しているのではないか。