備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

ポイントカード

 近所のペットショップに行くのは、週に1回程度だ。トイレ用砂とか大きなグッズは通販で買っているし、老猫の食事は病院で買う療法食が中心になっているので、缶詰を少量買い足すくらいの買い物しかしない。
 ところが、そんな私に対しても、この店は盛んにポイントカードを薦めてくる。レジで「ポイントカードはお持ちですか」ときかれ「持っていません」と言うと、「お作りいたしましょうか」と必ず言われてさらに会話がもう一往復することになる。そこで、決まり文句の「ポイントカードはお持ちですか」が出たら、その台詞が終わらないうちに「ぁ、結構です」と言うことに決めた。
 ところがあるとき、棚の前で品物を見ていると、ポイントカード勧誘専門と見られる店員さんに話しかけられた。こちらの動きを観察し、止まるやいなや近寄ってきたので、何かと思って後ずさりしそうになった。さらにその日は、その後レジでの「持ってますか」攻撃に対して「ぁ、結構です」で応じたにもかかわらず、「お作りいたしましょうか」という追い打ちがかかってきたので、もう一度同じ言葉を繰り返さなければならなかった。一分もない店滞在時間に3度の断りをすることになった。
 短い時間であったが、親切心を越えた執拗さのようなものを感じた。まるでポイントカード獲得目標なるものがどこかに存在していて、店員が一致団結して私をねらっているような錯覚にとらわれた。同時に、一度作ってしまうと非常に楽になるということもわかった。しかし、それだけにここで作ってしまうと熱意ある勧誘に負けたという結果を示したことになるが、そのことが何となくいやだったので絶対に作らないぞと心に誓った。そして、その後はこれまでより早いタイミングではっきりと「結構です」と言うことにした。
 現在では、やっとのことで私のことを「ポイントカードを作らない客」であると認識し、まったく触れないですませてくれる店員さんも現れるに至ったように見える。努力が実を結びつつある。