備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

春だから/春なのに

 新宿校舎地下1階のフロアに、卒業生の名前が張り出されている。といっても正確には卒業生名簿ではなくて、学科と学籍番号順に名前がならんだ4年生の名簿をもとにして作ったもので、卒業する学生の場合は名前の横に「合」マークが、そうでない人の場合には「★」のマークがついているというものだ。卒業できない(まだ決定していない)学生の名前もしっかり書かれていることになる。
 それを見て、単位がギリギリだと言っていた学生の名前の横に「合」があるのを確認した。その他、4年目で卒論につける学生の割合が極めて低い2部の某学科某コースの6年生とか、既にほぼ消失してしまった学科の生き残り7年生などの様子を、特に探したわけではないが紙上に名前を見つけて知る。結果はいろいろだ。携帯電話でこの名簿の一部を撮影している学生がいた。多分自分のところを記念に撮っているのだと思うが、学籍番号の近い不合格者の名前も写っているだろう。
 その後、エレベータホールで別の7年生と偶然出くわす。既に就職しており、1部から2部に転部してやっと今年度で卒業したとのことだ。
 ちょっと前にエレベータの中で会った4年生は、医療機器メーカに勤めることになっていると教えてくれた。そのさいに、自宅で生活するALS患者の様子を撮ったドキュメンタリーを授業で視聴したときに、彼が授業後のコメントシートに書いていたことを思い出した。妙なディテール(だけ)を頭の隅に残しているという自分らしい記憶力の良さを久しぶりに発揮したのだが、思い出したことを本人には言わなかった。高速が自慢の三菱電機製エレベータでは、3年前の些細なことをいきなり話し出すような余裕はなさそうだったからだ。それに、本人が覚えていない可能性も高い。
 卒業式にも祝賀会にも出られなかったが、以上のようなことを考えていた日。