備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

「成績トップで入学した学生」とは?

 入学試験の成績優秀者には何らかの金銭的メリットがあるというやり方は、成績優秀な学生に入学して欲しい大学と、お金がないけど学びたい学生の双方に利益があるため、とてもうまくいっているやり方だと思う。
 そういう事例がまた一つ。
「名古屋工大「努力に応えます」 入試トップには“報奨金”30万円」
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2009050302000141.html
 この文章中の「機械工学科、情報工学科など7学科で、それぞれ成績トップで入学した学生」という言い方がとても気になる。「入試成績がトップだった学生が、もし入学した場合には」という意味なのか、「入学した学生の中で成績がトップだった学生」ということなのか、2通りの意味に解釈できるからだ。後者だと合格手続きが済むまで、「報奨金」がもらえるのかどうかわからない。お金がなくてあてにしている人には、それはちょっと不安。なので前者なのではないかと思う。
 2009年度の場合、984人合格で、918人が入学。合格したけど入学しなかった66人の中には成績の優秀な受験者も多いはずだと思うのだが、これまでトップの成績だった人が入学したという実績がきっとたくさんあるのだろう。うらやましい話だ。(下記参照)
 http://www.nitech.ac.jp/examination/senbatsu/bu1.html
追記:これまでは成績がトップの学生は入学してくれなかったが、そういう人に入学してもらおうと思って「報奨金」を出すことにしたという見方もあるかも知れないが、多分30万円くらいでは(学生に金銭的事情がない限り)効果がないので、そういう戦略をとっているのではないと思う。