備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

猛暑練馬の汚名返上

 「練馬ですか、暑いんですよね?」 ここ数年、そんな言葉をよく聞くようになってきた。夏の暑い日の夜のローカルニュースが、都心の気温に比べてさらに高い練馬の気温を報じることがしばしばあるからだと思う。
 こんな質問まで出るくらいだ。
 しかし、体感としてはそんなに暑いと思えないので、調べてみた。ソースは気象庁
 上が2009年7月、下が2009年8月で、各日ごとの平均、最高、最低気温を、「東京」「練馬」それぞれでグラフにしてみたもの。


 こうして見ると、たしかに最高気温は練馬の方が高い。特に、8月になると差が開くように見える。
 ただ、平均気温ではほとんど変わらないし、最低気温はむしろ練馬の方が低いとも言える。
 しかし、他に気温観測を行っている地点として、都内では府中、八王子があるので見てみたが、どちらも最高気温は練馬ほどではないことがわかった。八王子は相当暑いと信じてきたが、練馬と大差ないことがわかったのがショックだ。やはり練馬は都内でも暑いところのように見える。
 が、まだ信じられないので、さらに密に気象データをとった東京都の詳細な観測結果報告(東京都環境科学研究所が出している年報(2003年)の論文「2002年夏期における都区部の気温分布の特徴について」)を読んでみたところ、気になる図(9-1 日最高気温平均値)が見つかった。この図によれば、最高気温が非常に高くなる地点というのは、都内ではスポット的にいくつか分布しているようだ。練馬と名の付く観測地点がたまたまそこにあたっているという解釈はできないだろうか。練馬地域が全体として暑いわけではないということもこれで説明できる。(とりあえずここまで。)