備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

不安を生み出すアーキテクチャ

 大学の教務課に休講届けを出した後、ちゃんと掲示が出ているかどうか確認する癖がついているということに気づいた。大学のポータルサイトで、簡単に見られるようになったからだ。
 昔だったら、学生用掲示板に貼り紙がしてあるかどうか、わざわざ見に行くことはなかった。そんなふうに足を運ぶのは面倒だし、学生に混ざって掲示物をのぞきこんでいる先生がいるのはちょっと変だと思われそうだからだ。でも、ポータルサイトなら、クリック一つで見られて、見ているところを誰かに見られるということもない。
 ところが、祝日だけれども授業のある20日の休講をお願いしたのに、大学のポータルサイト掲示が出ていないのを見つけた。どうしてだろうと考えたところ、ポータルサイトでは祝日と表示されるが授業はあるので注意するようにという注意書きが主に学生向けに出されていたことを思い出した。サイトの設定が祝日になっているなら、授業はないことになっており、だから休講掲示も出せないのではないかと気づいた。もちろん、ちゃんと紙を貼ってある方の掲示板には出ているはずだし、心配いらないとは思ったのだが、でも何だか不安になった。
 この不安は、確認する癖がついてしまったから感じるようになったものだ。その癖がついたのは、ポータルサイトを使うようになったからだ。以前なら不安に思わなかったことが不安に思えるようにしてしまう仕組みを、一つ見つけることができた。