備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

スキップができなかった。

 子どもを育てていると憂鬱になることがある。
 その一つは、昔の自分を思い出すことだ。子どもは自分に似ている。(似ているところが見つけ易いだけかも知れないが。)そのため、嫌だったこと、つらかったことなどの子どもの頃の思い出がよみがえってくる。大人になって、長いあいだ忘れていたけれど、そういえば自分はこんな風だったということが思い出されてしまうのだ。
 春に実家に帰った折、4歳児はスキップができるかどうかという質問を、母から受けた。たしかに、まだできない。そして、なぜそんな質問をしたのかと尋ね返したところ、4歳児の親である私も、なかなかできなかったからだという答が返ってきた。もちろん、自分自身ではっきりは覚えていないのだが、その後もずっと運動が苦手だった私が、スキップを簡単にできたとは思えない。
 母は、私が最初にスキップした瞬間を、その場所が幼稚園へと向かう道のどの地点であるかというところまで含めて、鮮明に覚えているということだ。よほど、私のスキップが心配だったのだろう。また、できたことが、どれほどうれしかったのだろう。
 どのような気持ちで、母が幼い私を育てていたかということなど、これまで知る機会はあまりなかったような気がする。子どもがいるということに、親の気持ちを知る機会が増えるという意味があるということが、よくわかった。嫌なことも、それだけではないということだ。