備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

猛暑練馬の汚名返上(その2)

 いわゆる「練馬」の気温等を観測している気象庁アメダスの観測ポイントが、現在の武蔵大学構内から日本銀行石神井運動場跡地へと移動することが決まったという、ビッグニュースが飛び込んできた。
リンク:「「東京一暑い街」、ついに卒業? 練馬の観測所移転へ」(朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0725/TKY201207250222.html
 既に本ブログで指摘した通り、「練馬」は「東京」より暑いと言われているが、それは大きな誤解を含んでいる。アメダスのデータを用いて比較すると、たしかに最高気温は高いが、平均気温では変わらず、最低気温は明らかに低い。また、そもそも同じ練馬区内でも観測ポイントをどこによって気温が大きく変わってくる可能性がある。
 以上のことを述べた前記事は以下。
 http://d.hatena.ne.jp/hayashi9192/20100726/1280095375
 そこで、前記事でも用いた論文(なお、東京都環境科学研究所のURLが変わっているので、論文のリンク先はこちら。)を参考に、これから行われる観測ポイントの移動によって「練馬の気温」の観測値がどのように変化するかを予想してみることにした。
 といっても、論文中の地図がおおざっぱなものであるし、観測地点も明確になっていないため(またそもそもデータが古い)、あまりはっきりしたことは言えない。それでも、石神井近辺に移動しても、おそらく最高気温はあまり変わらないこと、最低気温は下がりそうであることが読み取れた。「練馬」の最高気温が低めに出て欲しいと期待する向きは、石神井池を擁する公園の局所的な効果を頼みとするくらいではないだろうか。
 ちなみに朝日新聞の記事中、「現在の練馬の観測所は風通しが悪くなり、気温の上昇といった影響を与えている可能性がある」とあるが、直線距離で二・三百メートル離れたところに、10階程度のマンションが出きたくらいではないかと思う。