備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

科学技術と人間(中学校理科第一分野)

 中学校学習指導要領の理科編に「科学技術と人間」という項目があることを、たまたま知った。「科学技術の発展と人間生活とのかかわりについて認識を深め」るのが目的。第一分野(物理・化学系)に属しており、第二分野の対応する項目として「自然と人間」はあるが、こちらは生態・環境に関連。その結果として、「生命科学技術と人間」のような話は、どこにも出てこない仕組みになっていることを理解。倫理学の先生は生命科学の悪いことばかり言うという「苦情」を聞いたこともあるし、だったら「生命科学がどんなに役に立つか」みたいなことは理科で教えれば良いのではと思ったのだが、中学校段階ではそうはいかないということがわかった。(「苦情」を述べた方に「家庭科」や「保健体育」の先生は協力してくれないのかと尋ねたら、そういった方は科学的知識を欠くのであまり期待していないというような反応をされ、ちょっと驚いた。)
 きっかけはこちら。はじめ「科学技術と人間」が第一分野の項目と知らなかったので、なぜ自分が第一分野の担当者に入っているか理解できず、その後調べて初めて中学理科のカリキュラムについて知った次第。
 なお、この項目の内容は試験に出しづらいのではないかと考えて、今年と昨年の都立高校の入試問題も見てみたところ、やはり該当分野の出題と思われるものはなかった。