備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

血液型の決定

 100円ショップで買い与えた自由帳にいろいろ書き込んでいた7歳児が、どこで覚えたのかプロフィール(今どきのことばでは「プロフ」?)の書き方を模倣した記述を試みていたのでこっそりのぞいたところ、「けつえきがた」という項目が作られており、さらに勝手に「Oがた」と書き込まれているのを見つけた。ふりがなで「おー」と加えてあるところを見ると、血液型のバリエーションがアルファベットで示されることは知っているらしい。ちなみに、7歳児の血液型は調べていないので、私もまだ知らない。
 「血液型」という概念は、子どもたちの語彙の中に日常的に侵入するようになっており、それが生物学的な意味を持つ用語であるということを知るのはずっと後になってからになるのかも知れない。そうすると、たとえば日常用語の「力」や「エネルギー」が、物理学用語の「力」や「エネルギー」の誤用だとは言われないように、日常用語として独立の意味を持つ単語に近づく可能性も出てくる。「A型」といった用語が、第一義的に生物学的な意味をもつABO式の血液型の名称としてではなく、それとはさしあたり何の関係ももたない性格類型を示す単語に変わっていく、そういった移行過程を私は目にしているのかも知れない。