備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

過去何百年の細胞生物学の歴史を愚弄している

 STAP細胞関連の話題で一日中フェイスブックのウォールがあふれた日。一番気になったのはこの査読者からのコメントでした。論文は、冒頭でウォディントンの「後成的風景epigenetic landscape」に触れ、細胞の運命は分化が進むにつれて決定されていくという常識への反逆が宣言されています。実際には、細胞生物学の歴史は何百年はなくて、長く見積もってもせいぜい百数十年。まだまだいろんな常識がひっくり返ってもおかしくないのでしょうか。
 「わかった」というより「できた」という研究で、こんなにメカニズムがブラックボックスで良いのだろうかと思うと同時に、わからなくてもできちゃうんだからすごいことだ、とも思いました。
生命の本質 (1964年)