備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

「大学・研究機関における軍事研究」アピール他

昨日ある新聞社が東大の軍事研究が解禁されたと「誤報」(1)し、大学がその報道を否定するような声明を出し(2)、最初の記事を誤報とする別の新聞社の記事(3)が出ました。

 最初の新聞社は、2014年夏の「防衛生産・技術基盤戦略」発表を受けた記事でも、ファンディングなどを通じた大学と防衛省との連携強化の部分を強調しています(4)。

 運営交付金の削減が続く国立大学に軍事研究資金を導入しようという長期的な政策誘導は明らかですし、武器輸出三原則を廃止した現政権に呼応して「デュアルユース技術」開発を進めようとする産業界も、そういった産学官(軍)連携を望んでいます(5)。最初の報道が、この連携を既成事実化する雰囲気醸成のアシストになりうる可能性を考えると、わかってわざと間違えたんじゃないのかと疑っているところです。

 なお、下記サイトが、賛同者を募集しています。昨日から少し署名が増えています。

軍学共同(大学・研究機関における軍事研究)反対アピール http://no-military-research.a.la9.jp/

(1)「東大が軍事研究解禁 軍民両用技術研究容認 政府方針に理解」http://www.sankei.com/politics/news/150116/plt1501160003-n1.html

「東大、軍事研究を解禁 公開前提に一定の歯止め」http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150116-00000069-san-pol

(2)「東京大学における軍事研究の禁止について [その他] (広報室)」(2015年01月16日掲載)http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/news/notices/3564/

(3)「東大「軍事研究認めない」 「解禁」の一部報道を否定」http://www.asahi.com/articles/ASH1J5QKRH1JUTIL02N.html

(4)「軍事技術開発で大学向け基金 防衛省、27年度予算概算要求へ」http://www.sankei.com/politics/news/140824/plt1408240008-n1.html

(5)「武器輸出政策はもっと積極的に」西山淳一http://www.rips.or.jp/research/ripseye/2012/post-41.html