備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

現代思想11月号 特集:生存の争い

 会議で八王子に行かなければならなかったので、電車とバスの中でずっと読んでいた。注目していた小泉義之氏の議論はより少しわかりやすくなっていたし、具体的なイメージもつかめた。前にこの日記でも書いたことだが、ES細胞樹立に必要な余剰胚という「希少な資源」(あえてそう呼ぶのだが)を持っているカップルが、なぜ提供を承諾する際にも弱い立場に立たされなければならないのか、考えてみれば不思議でもある。そういった力関係の逆転を積極的に行おうという提案は必ずしも現実的ではないが、いろいろとイメージが膨らみそうで、勉強になった。(ついでだが、山猫ストなんて言葉久しぶりに聞いた。)「ヒトクローン・ウォーズ 「生存の争い」なのか」(粥川準二)、「科学技術ガバナンスの再構築 〈安全・安心〉ブームの落とし穴」(平川秀幸)は、ウェブログ愛読者としてはだいたい予想通りの内容。「脳死者は生きている 管理社会の中の先端医療」(小松美彦)も、予想通り。面白かったのは、「“舞踏病”と舞踏の邂逅」(武藤香織)、「人工呼吸器の人間的な利用」(川口有美子)。