備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

太陽系の惑星は12個

 国際天文学連合の惑星定義委員会が行ったこの提案によって、理科の教科書はどうなるのかなどという問題も起こっている模様。以下の朝日新聞の記事はフィクションや占星術への波及まで心配していて面白い。
http://www.asahi.com/science/news/TKY200608170461.html 
 理科の教科書について言えば、この訂正を特別視するのではなくて、そもそも「科学的知識は新しい発見によって変わりうるものだ」とか「科学用語の意味は定義次第で違ってくる」というような科学のあり方を教えるにはちょうど良い例ではないかとも思う。
 ちなみにこの委員会の代表を勤めているのは、コペルニクスに関する科学史研究でも有名な天文学者Owen Gingerich。上記記事中にも「すばらしい妥協」とあるが、長い間冥王星を立派な惑星の一員として遇してきた歴史を踏まえ、社会・文化への波及効果も見通した見事な提案ということかも知れない。