備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

何年生?

 エレベータの中というのは、たわいない会話以上の話がしにくい空間だ。
 以前に授業に出ていた学生の顔を久しぶりにエレベータの中で見るということが、ときどきある。顔も名前もわかっているのに、いつ、どの授業に出ていたのかが思い出せないことがあって、挨拶された後で、まだエレベータが動き続けていて、しばらく間が空いたときにかけるべき一言に迷う。
 あるとき、久しぶりだと思って、何気なく「いま、何年生だっけ?」と尋ねてしまい、小さな声で「5年生です」と言わせてしまったという大失敗もあった。そのため、相手の氏名や学年に自信があるときでなければ、挨拶されてもこちらからあまり具体的な話題には持ち込まないように警戒してしまうこともある。逆に、リクルートスーツだったりすると、かける言葉がとても見つかりやすい。
 先日も、かなり久しぶりに見かけた学生がいるのに気づき(向こうもこっちに気づいて)、一生懸命頭の中で記憶をたどって計算したところ、大学院に進んでから既に2年を過ぎてしまっているという結論に達した。もちろん詳しい事情を聞くことはなかったので、なぜその学生がまだ学内にいたのか、私の中ではまだ謎のままである。