備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

長文を書くこと

 今の年代の学生ほど文章をたくさん書いてきた大学生はいないのではないかと同僚が言ったので、なるほどそうかも知れないと思った。物心ついたときからワープロソフトや電子メールが使えたし、携帯電話でのメールのやりとりも普通に行っているからだ。
 また、創作レポート提出のために大学の計算機室の1ヶ月のプリントアウト制限A4×60枚を使い切った学生とか、電撃ライトノベル大賞をねらっている学生とか、二次創作やおい小説をウェブで連載している学生とかを知るにつけ、大量の文章を書くというかつてなら特殊な作業であったはずのことに対して敷居が低くなってきているのを感じる。
 ただし、書いているわりに読書量の方は必ずしも多くないかも知れない。また、自筆でないので漢字書き取り能力も上がらないかも知れない。だから、日本語能力の低下が問題視されているという一般的な評価とは、決して矛盾はしないだろう。ただし、別の能力が養われているという可能性も無視すべきではない。educationとは、(その人の良いところを)引き出すという意味だということを思い出す。
 ついでに、こういった傾向を私が見て取っている場が、文学部などではなくて、工科系の大学だということも、面白いことなのかも知れない。