備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

子どもの気持ち

 これもまた昔話になるが、おそらく小学生(ひょっとしたら中学生)のときに皆既月食を観察したことをよく覚えている。東の空から出てきたばかりの満月が欠け始めるという、小学生が夜更かししなくても見られる「ゴールデンタイム」の天体ショーだった。季節も、早い時間に暗くなる冬だったのではないだろうか。
 小学館だか学研だかの子どもむけ読み物で、その日のその時間に月食が起こることを知っていて、かなり前から楽しみにして待っていたという記憶がある。何度も外に出て月を見上げ、進行具合を確認した。天体望遠鏡などという高価なものは、「ベルトクイズQ&Q夏休み子ども大会」で優勝しないと手に入らないものと諦めていたので、もちろん肉眼だったし、カメラに収めようなどという気もまったくなかった。
 あのとき、自分は何にときめいていたのだろうか。自然の不思議さか、それとも宇宙の大きさに対してだろうか。よくわらからないが、きわめて不思議なできごとが起こる時間、場所に自分が存在しているというそこのこと自体がとてもワクワクしたのだろうと思う。子どもが空を見上げる気持ちや、虫を観察する気持ちというのはそのようなものだと思う。それは科学とは必ずしもつながらないものであり、そこから必然的に科学に向かうということはないように思う。
 八王子校舎まで、会議のために往復。太陽が欠けていた時間はちょうど会議中だったが、私を含め、誰も日食のことは口にしなかった。地上の責務に追われて、天界に思いをはせる余裕はないものと見た。
 ちょうどあまり混んでいない時間帯だったので、生協食堂でご飯を食べる。
 八王子キャンパスでは、ニイニイゼミが鳴いている。
 プリンタのドラムが交換時期だぞ、とプリンタの液晶画面が教えてくれたので取り替える。しかし、ちょっと失敗して、インクの粉をいっぱいこぼしてしまう。一応水で濡らして拭いたりはしたのだが、カーペットはまだ真っ黒。たしかに水では落ちないはず。石けんとか、あるいは何か別種の溶媒に浸した布で拭いた方が良いのだろうか、といろいろ調べてみる。
 某学会誌の校正を点検など。
 授業が終わってから試験が始まるまでのわずかな時間が穴場だと思っていたのだが、大事な仕事はほとんどできず。あと数時間で試験が始まってしまう。
 衆議院は解散。初めて日本に大学の工学部出身の首相が誕生する時が近づいてきた(のだろうか)。