自分の書いたもののコピーを封筒に入れて郵送しようとしているところ、学生から質問を受けた。どうして電子ファイルで送らないのかと。
ちょうど先ほどまで、その学生と電子書籍について議論していたところだったので、自分なりに考えてみた。年齢やコンピュータリテラシーなどの相手の属性という実際的な観点だけでなく、失礼でないかという相手との関係も考慮していることを見いだした。
ちなみに、学生との議論によれば、「紙の本」であることは「特典」の1つと見なされるということになった。「特典」というのは、「本来の商品そのもの」を買ったときに付いてくるグッズや、著者のサインなど、特定の人にとって意味をもつ付加価値のことである。小説という商品の本体が文字データであるならば、紙の上にそれが印刷されていることは特典に他ならない。ただ、電子書籍以前には全員についてくる付録だったため、私たちはそれが「特典」であることに気づきにくいのだ。