備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

電車の中で読んだ本記録『生物学の夢を追い求めて』

 精子研究者の回想録。不妊治療関連の興味で読み始めた一冊だが、別の観点で面白かった。
 学会における世代間関係、文部省(文科省)と大学の関係、学会と経団連の関係などについての記載もあり、戦後の高等教育および研究政策の歴史的記録として価値あり。大学代表として文科省と交渉するに際し、(旧制)中学校の後輩である官僚を動かして成果をゲットする事例など、日本における官学エリート人脈のよい実例証言。

生物学の夢を追い求めて (シリーズ「自伝」my life my world)

生物学の夢を追い求めて (シリーズ「自伝」my life my world)

 就職難のポスドクの人が読んだら、簡単に助手の口が決まるあたりの記述で本を投げ出したくなるかもしれないが、苦労されたことまで、よく淡々と書かれているとも思う。ちなみに、STS・生物学史研究者Dさんの師匠。私は授業に出たこともなし。