備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

in silico

 大学1、2年生のときに、「学生実験」というものをやらされたことを覚えている。五十音順に組んだペアのパートナーがとても優秀だったので、授業が始まってからはじめて教科書を読み始める私を尻目に、実験装置のセットアップが開始し、後から私が追いついて手伝うというありさまだった。今考えると大変申し訳ないことをした。1分おき(だったかな?)に2時間(だったったかな?)測定をし続ける熱伝導率の実験などは、ぼんやりしがちな私に実験というものの厳しさ(笑)を教えてくれた。残念ながら実験研究者になどなれそうもないという悟りもできた。
 という話を思い出したのは、学生実験は時間がかかるものという前提で話をしていた私に、情報演習室に行ってプログラム走らせて5分で終わる実験もあるんですよと教えてくれた学生がいて、ちょっと驚いたからだ。「物」を用意して、「測定」を行うため、ある「場所」に長くいるのが学生実験だというのが私の思い込みだった。