備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

個人情報の値段を計算してみる

 岡山の会社から徳島の会社に個人情報がわたった事件に関連して、個人情報の「価値」について考えてみた。
 名簿獲得を通じて契約者が1人増えた場合の利益を1万円と計算(*)、名簿1000件で一人新たな契約者が発生する(**)とするれば、名簿一件あたりの値段は10円となる。
 もしこの数字がそれなりに妥当だとすると、39歳システムエンジニアが受け取った250万円という報酬は、どう考えたらよいだろうか。数千万件というのは重複もあると考えられるので、500万件とすると(***)、1件あたり0.5円になる。つまり「末端価格」の20分の1である。そうすると、最初に情報をゲットする個人は、「振り込め詐欺」で言うところの「出し子」みたいなもので、ほんの少しの手数料を受け取る下っ端に過ぎないのではないか。名簿の取引をしている業者の方がずっと「儲けている」可能性がある。そちらを取り締まらないと、問題の再発は防げないのではないか。
 なお、これはあくまでも大まかな試算なので、業界に詳しい方、募集。もちろん、情報を流出させたエンジニアに倫理的問題があることは言うまでもなく、名簿業者に責任を押しつけることができるわけではない。
(*)スマイルゼミは、小学校6年間で約30万円弱。小中9年で約50万円。すでにシステムができあがっている以上、契約者が追加された場合に得られる利益は高いと見込めるので、もしかするともっと高額でも良いかも知れない。
(**)これはどうにもわからないので、適当な数字。
(***)日本の年間出生数は100万人。重複を排除しても、このくらいのデータを持っていて不思議じゃないと思う。