備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

未来の遊園地はゲーセンだった

 連休中は、4月の不摂生がたたり、ずっと風邪をひいて、さらにそれが家族にもうつって、どこにも行けませんでした。
 ということで少し前の話です。忘れてしまいそうなので、まだまだ自分の中で未消化ですが書きとめておきます。お正月にお台場の科学未来館に行きました。未来館自体は8歳児には少し早いかとも思いましたが、「未来の遊園地」と名付けられた特別展があったのでそれを目当てに出かけました。ところが、この特別展に、子どももそんなに長居しようとはしませんでした。
 普段からお絵かきばかりしている8歳児ですが、自分が画用紙に描いた魚をスキャンして、大きな水槽を模した画面に映し出すと動き出すという、絶対一番楽しいに違いないと推定していたアトラクションをスルーしました。もしかすると、本人の中ではいつでも、自分の描いた絵は動いているつもりだし、勝手に動かされるより、自分の想像の中で動かしていた方が楽しいのではないかと推測しました。投射された画面には、他の子が描いた余計な絵まで入ってくるので、世界観を壊されます。子どもの頭の中では、その爆発的な想像力によって、多大な演出がなされているのでしょう。デジタル表現が物理的な世界の限界を超えることができるのと同様に、子どもの想像力はデジタル表現の限界を超えるのでしょうか。
 一番楽しそうだったのは「けんけんぱ」でした。平らな床の上に、水に浮かぶ飛び石の映像が映って、落ちないようにジャンプしていきます。池に魚がいたり、石が弾けて消えたりしていますが、子どもは飛び終わった足元を見ていません。普通の地面の上での「けんけんぱ」でも同じように楽しんでいるに違いない、と確信しました。飛び石は意外に単調でしたが、もしかすると単調じゃないと危ないからかもしれません。平面上でも人は転びます。 
 といったことで、8歳児も私も非常にあっけなかったので、この気持ちはいったい何だったのだろうかと気になっています。8歳児はもともと騒々しいところや人の多いところは好きでない傾向はありますが、千葉のネズミの遊園地(←体験記後日)も故「こどもの城」も大いに楽しんでいました。これが、わが子の固有性という謎なのか、子ども向け企画の難しさという謎なのかはよくわかりません。もしかすると、科学未来館の通常の入場料は620円なのに、特別展を含めると1800円とおよそ3倍になるということもあって、期待し過ぎた私の問題かも知れません。画面が大きいだけのゲーセンじゃないかという印象を持ちました。結果として大半の時間は特別展以外の場所にいることになりました。期間が延長されて、明日まで続いている特別展のサイトはこちらです。http://odoru.team-lab.net/
 なお、どうせそんなに混んでないからお弁当もっていかなくてOKと宣言した私は、お腹を空かせた妻子に白い目で見られます。未来館の集客能力を見くびって申し訳ありません。レストラン1時間待ちでした。火星ピザもやってなくて散々でした。http://www.transit-web.com/shop/miraikan-cafe/