備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

感性価値創造イニシアティブ

 「感性価値創造イニシアティブ」という動きがあることを経産省の人の講演で学ぶことになった、日本感性工学会第9回大会の2日目。事例集を見ると、家電、食器、装飾品などで、デザイン性に優れ、コンセプトの明確な「日本名産品」が目白押しで、たしかに世界(の金の余ってそうな人たち)に売れそうに思えるものばかりだ。日本消費者の厳しい目が製品開発能力を磨いてきたというのは多分本当だろう。そう考えると、今後ますます産業の空洞化が進み人口が減少する中で、日本企業が生き残っていく鍵は、世界に通用する「製品モニター」という日本市場が足もとに控えているというところにある・・・のだろうか?
 たしかに面白い話だとは思うものの、経済的ゆとり層に期待するそういった戦略は、低所得(ひょっとすると外国人?)労働者をその下に抱える二層分化した格差社会という未来像を前提としているように思えてすっきりしない。
 「一針入魂のDNA」(吉田カバン)という表現を見つけたのでメモ。
 それとはまったく別の弁理士会会長さんの講演は、知財に関する比較的一般的な紹介の話だったが、非常にバランス良く聞こえて、とても気持ちが良かった。これは多分私の偏見なのだが、知財戦略語りの人たちというのは、自分たちが日本の未来を背負っているといった意識が高く、「プロパテント」は正しいという信念に満ちあふれたオーラを放っていて、エイズ治療薬や遺伝子組み換え作物の話など私が持ちだそうものならちょっと嫌そうな顔をする、というイメージがあるからだ。
 ちなみに、会場校担当者としての仕事がいろいろあって、どっちも中途半端にしか聞いていないので、そのレベルの印象です。