備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

なぜセミはミンミンなのか?

 セミの鳴き声をカタカナ表記せよと言われると、多くの人が「ミンミン」と答えるのではないだろうか。アニメの中で聞こえてくる声も、マンガでの表記も、それが多いのではないかと思う。しかし、日本で一般的に見られるセミの中で鳴き声が「ミンミン」という音で表せるのは、ミンミンゼミただ一種しかいないだろう。
 中国地方平野部で育った私は、アブラゼミニイニイゼミクマゼミ、そして秋口からはツクツクボウシはたくさん見たけれど、ミンミンゼミを目にすることは少なかった。なぜセミはミンミン鳴くことになっているのか、というのはそういう私が子どもの頃に思った疑問である。
 この疑問の答えが見えたのは、大学生となって上京した夏のことだった。東京では、たしかにセミがミンミンと鳴いているのだ。倉敷では目にしなかったミンミンゼミが、こちらでは「声の大きいやつら」であることが判明して、納得することができた。
 テレビドラマの登場人物が皆東京の言葉をしゃべるのと同じ理由で、マンガの中のセミはミンミンと鳴くのではないか。つまり、セミの鳴き声を「ミンミン」とするのはもともと東京弁であり、このケースもまた東京弁が標準語化したという一例に過ぎないのではないか。そんな推測が可能だ。
 そして今、2歳児にセミの鳴き声を「ミンミン」だと教えている私がいる。これは、私が自分の子どもに岡山弁を教え込んでいないのと同じことなのだ。
 連日会議に、昨日は学生との飲み会。