備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

最終回がなくなる

 子どもの頃、テレビ番組の最終回には特別な思い入れがあった。
 ストーリー展開がいつもと違ったり、クライマックスシーンが充実していたりということもあるが、何よりも来週からその番組がなくなるというのが、テレビに支配された生活のテレビ世代の子供にとっては、大きな日常の変化となったからだ。その変化というのは、決まった時間にテレビを見ることがなくなるというだけではなく、次回の番組を楽しみにしながらすごす一週間そのものが全体として違ってくるというものだ。
 もちろん、終わる番組に代わって新しい番組が始まるという楽しみのある場合もあった。しかし、どんなにこれから楽しそうな番組が始まるとしても、既に1年も(当時そのくらいのスパンで番組は続いていたと記憶している)見続けてきた番組の影響力にはかなわない。もうあのキャラ、このキャラと会えないのだという思いは、最終回視聴に臨む気持ちを特別なものにしたのだ。とりわけ「ハクション大魔王」の最終回の切なさは、ケンちゃん一家と魔王たちとの別れというストーリーとオーバーラップしたこともあって印象的で、今でもありありと甦ってくるほどだ。
 ところが今はどうだろうか。番組は簡単に録画できるし、少し待てばDVD化される。簡単に再生できるものになった。これからの子どもたちが同じように最終回の切なさを感じて育つことができるのかどうか、という変な心配をしてしまう。
 「ぐ〜チョコランタン」(知らない方はこちら)が終わると聞いて、そんなことを考えた。