WHO(世界保健機関)が渡航移植を控えるべきという議決を行ったのをきっかけにした蔵出しなのだろうか、以下の2つの番組で渡航移植問題が続けてとりあげられた。
1月28日 クローズアップ現代「岐路に立つ“渡航移植”」 (NHK総合)
2月4日 「BSきょうの世界」(NHK BS1)
技術はできないものをできるようにして、なかった可能性をあるものにしてくれるが、それに対して社会制度や社会環境の変化は、できたものをできなく、あった可能性をないものにすることができてしまう。そういった種類の悲劇とどのように向かうべきなのかというのは、とても難しい問題だ。
本日の朝日新聞(asahi.com)によると(こちら)、国によって禁止されたにもかかわらず中国では引き続き日本人の渡航移植が行われているとのことだ。
テレビ番組はBSの方しか見ていないが、ネットでの書き込みによるならばもう一方もやはり欧米(具体的にはドイツ)への渡航移植を主として扱っていたようで、アジア諸国への渡航移植についてはほとんど触れられていなかった模様。アジアだと、脱法的に行われうるという現実(わかっていなかったわけではないと思うのだが)に触れなかったのは意図的なものだろうか。WHOの議決を待つまでもなく、渡航移植対象国の主流は既にアジアへと変わりつつあるのは確かなことだ。
ところで、クローズアップ現代の方では、提供して良かったのかどうか悩んでいるという提供者家族の声がとりあげられていたらしい。これは、貴重な報道だと思う。