備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

間違っていればエラーが出るはず

 履修登録手続きをする学生と話をして気づいたこと。あと何単位まで登録できるか、わかっていない。
 昔大学を卒業した人に言うと驚かれる場合もあるのだが、近頃の大学では上限単位数というものが決まっていて、年間に登録できる授業の数が制限されているのが普通になってきた。多分、留年の恐れがあるといった、やむをえず履修に配慮が必要とされる学生の方が、単位数の計算をちゃんとしている。他方で、留年の恐れはあまりなく、何となくいろいろな授業で時間割を埋めてみたという学生が、上限単位数にあまり気を配っている様子がないので気になった。
 どうやら、超過があれば後から履修登録にエラーが出て、大学から呼び出しがかかる。それを待っていれば良いということらしい。まあ、そうかも知れない。でも、そういう考え方は何だか気になる。どうしてだろう。
 時間割表を見ながめて、1〜4までの数字の足し算を繰り返していくだけなのだから、難しいことではない。そのくらい、やっても良さそうなものだ。でも、ひょっとすると計算を間違えるかも知れないし、計算に入れない例外科目とか、人によって上限単位数が違うとか、多少ややこしいところもあって、公式の計算結果を待った方が要領が良いとも言えなくはない。
 自分の学習計画について、ちゃんと把握できていないのはおかしいじゃないかという正論もあるかも知れないが、そもそも上限単位数の根拠などいい加減なもの(と私は思うのだが)なので、その自覚がないからといって学生を責める気にはならない。
 そんなふうに考えているうちに、パスワードがわからなくなって、でも2つまで候補を絞れた場合、どっちかわからないのでとりあえず1つ試してみるということをするのを思い出した。そういうときの感覚と同じで、とりあえず入れてみて、間違いがなければそれで問題ないし、間違っていればその間違いを教えてもらえるし、そうすると候補が絞れるわけだから、とりあえず提出してみれば良いと言うことなのだろうか。
 でも、そうやって自分のミスを確かめさせるというのは、多分相手が機械だから平気でできることだ。単位数上限超過というエラー認定はたしかに機械がはじき出すかも知れないが、その結果を掲示したり、後から科目削除を受け付けてくれたりするのは人間だ。そうすると、見えないところで人が動いているという想像力がないということなのかも知れない。もしそうなのだとしたら、やはりそれは気になることだ。
 それとも大学は「サービス業」なのだから、面倒な登録もできるだけ学校が面倒を見るべきだという確信に基づいた行動だろうか。何でも手助けするのが教育という種類のサービスではないし、自分で上手にスケジュール管理ができるようになるというのも、学生時代に学ぶ大切なことの一つのはずなのだが。