備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

水島コンビナート

 ちょっと前に、工業地帯の写真を撮る人がいると聞いたのでネット上で探してみた。
 Googleで「水島コンビナート」を画像検索すると、クリスマスのイルミネーションの広がる街の夜景かと見まがうばかりの写真がたくさん出てくる。確かに美しい。4歳児に、ホタルがたくさんいるよと言ったら、あるいは妖精さんが住んでいると言ったら、信じるかも知れない。
 小学生のとき、写生大会で工業地帯を描きに来たことがあったのを思い出した。当時は高い煙突から煙がモクモク出ているのが印象的だった。市街の住宅地の子どもたちは、珍しい建造物の大きさ、高さ、力強さを絵にしていた。それでも、遠くから聞こえてくる轟音や変な臭いは気になった。「オキシダント注意報」という言葉を日常的に耳にしていた時代のことだ。
 自然物に負けず劣らず、人工物だって美しいものは美しいはず。しかし、美しいと言い切ることにどうしても違和感が残る。どうしてだろう。昔の印象があるからだろうか。その場所のたどった履歴を考えるからなのか。そこで働いている人はこの夜景を自慢に思っているのだろうか。傍観者にとってのみ美しいものは、本当に美しいものと言えるのだろうか。