こっそり後を追い、あの人が踏切でひっかかったところで、偶然を装って横に並んでしまう、ということができなくなる。踏切がなければすれ違って終わっていただけなのに、その両側で立ち止まったために、お互いに相手を発見してしまい、その後会話が発生する、ということも起こらなくなる。悲しい事故の可能性の高い踏切を「擁護」する気はないけれど、どこかで残念に思う気持ちがあるのは、多分そういうこと。小田急線の地下化で考えたこと。人や物の流れに停滞がなくなると、合理的で時間を節約できるが、代わりに何を失うか考えてみた。
乗り換える人も不便になるだろう。下北沢駅での乗り換えは、時刻表上1分差でもできた。渋谷発の井の頭線の最後部車両に乗り、駅到着直前に下を通る小田急線のホームの動向を確かめ、ダッシュするかしないか決めた。そういうこともできなくなる。