デュアルユースという言葉の含意に、「倫理に反する軍事研究」と「社会にとって必要な研究」との線引きの困難さがあるところまでは、多数の方が合意すると考えています*。もしそうならば、研究を進めることを最重要視して禁止の範囲を緩めていくのか、それとも多くの研究が軍事に結びつくことを警戒してより慎重にことを進めるのかというのが、決断の分かれ目になります。後者を選択すべきであり、そのためには「研究の非軍事化(demilitarization)」を積極的に進めるべきだと主張できるのは、学術会議くらいではないでしょうか。議論をするとしたら、「軍事研究の否定を見直す」のではなく、「研究の非軍事化」をいっそう進めるためにどうしたら良いかということだと考えます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160521-00000005-mai-sctch
*実際には生命科学などでは大きく事情が異なるのですが、そのことは措きます。またデュアルユースという言葉を使うこと自体の問題性もあります。