備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

『ネイチャー』誌、ウィキペディアの正確さを評価

 以下の記事。(英語原文へのリンクあり。)
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20051219302.html

ボランティアによって書かれた400万近い項目を擁するオンライン百科事典『ウィキペディア』は、科学分野の話題を扱った項目の正確性では『ブリタニカ百科事典』に匹敵する――このような趣旨の記事が、12月15日付で『ネイチャー』誌のオンライン版に掲載された。

 分野や言語による面もある(英語圏は人口が多い、科学分野は情報の更新が早い、等)と思うので、必ずしもどんなケースでも信頼性があるとは言えないのかも知れないが、ネットだからといって甘く見てはいけないのということははっきりした。特定の(著名な)専門家に依頼するよりもボランティアが書いたものの方が正確だというのは面白いことだ。ネットに対する紙の優位と同時に、名前ある専門家の権威もまた揺らいでいると言えるのではないか。
 ちなみに、最近ギンガリッチ『誰も読まなかったコペルニクス』(早川書房)を読んで初めて知ったのだが、百科事典を調べてもわからないことがあったらブリタニカ社に直接質問できて、会社は責任をもって回答するというサービスがあったらしい。有料であることの意味だけは、まだ存在しているのかも知れない。