備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

エプソン肌色自動補正

 エプソンのプリンタのCMで、「人の顔を見分けて 自動で補正」というのがある。テレビでは、逆光で暗くなったデジカメ写真を、自動的に補正してプリントするところが出てくる。(ここから動画を見られます。)これがどういう仕組みなのか気になって、少し調べてみた。
 まず色補正の話だが、これはエプソンの公式ページによると「見る人が好ましいと感じる肌の色に自動に補正」するようになっているらしい。「見る人が好ましい」とは何かというと、別の記事(1)によればエプソンが市場調査をもとにして決めたものということだ。「「人物検出能力は80%以上」(エプソン)としており、肌色は人種を問わない。」ということなので、世界中のどんな肌の色の人たちが写っていても、決まった色に補正してくれるのだろうか?
 また、顔色補正は「1顔」ごとに個別に対応しているのか、それとも全顔の平均色が「好ましい色」になるように全体的に対応しているのかも気になる。この記事(2)にある実例を見ると、補正は写真全体に一様にかかっているように思える。
 ここからは「色補正」ではなく「顔認識」の話だが、「猿は動物として認識され、人形は鼻や目があると人間として検出されるという」(上記記事(1))とある。どうやらパターン認識を利用して、顔を判別しているようだ。しかし、中にはせっかく写真に写ったのに、「人間」扱いされなかったりする場合もあるだろう。もちろん写り方の問題もあるが、他の人より「人間」として認識されにくい人もいるかも知れず、それはちょっと寂しいのではないだろうか。ちょうど良い大きさの靴がなかなか見つからないなど、標準的体型でないがゆえの苦労はそれなりにしてきたつもりの私としては、「製品の規格に合った標準的な顔」が求められているような気分になって、ちょっと気持悪さを感じないわけではない。