備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

早く来い来い全入時代

 10年くらい前、入学試験廃止論というのを唱えており、その構想を聞かせてくれた社会学者がいた。(今でも唱えているかも知れない。ちなみに、横浜市大を今のようにしてしまった人。)大学が方針をしっかり持ち、講義レベルの維持と単位認定をきちんとすれば、そのレベルに対応し、その分野に関心をもった学生が入学してくる。ついていけない学生は自然に単位を落としていなくなるので、無条件で多数を入学させても学生の数はいずれ安定するだろう。時代により入学生の希望に変動はあるかも知れないが、それは入学生を確保したい大学がその分野やレベルに対応しようとするので、需要と供給は自然とつりあう。そんな理想像だった。
 実際にはこのような予定調和の「神の手」は働かないだろうし、だから無理だろうとは思うのだが、そうなったら大学の教員と職員が現在入学試験にかけている膨大な手間と時間はなくなり(もちろん広報はなくならないが)、それが間接的には教育内容の充実につながるのではないかと考えられないではない。
 本当の「大学全入時代」が来てほしい、と思うこともある。