備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

細胞共生説が遺伝子治療を支持?

 いわゆるミトコンドリア病に関する治療法をアカゲザルで研究した成果が発表されたとの報道。
ミトコンドリア病卵子の段階でDNA置換 米研究チーム」(毎日新聞の記事)
http://mainichi.jp/select/science/news/20090827k0000m040144000c.html

遺伝性の難病「ミトコンドリア病」の原因となる異常ミトコンドリアDNAを、卵子の段階で遺伝しないよう置き換える技術を、米オレゴン健康科学大などの研究チームが開発、その技術を使ってアカゲザルの子どもを誕生させることに成功した。約5000人に1人と言われる同疾患の防止につながる可能性があるという。26日、英科学誌「ネイチャー」(電子版)に発表した。

BBCのニュースによると、著者の一人は「これまで行われたどんな遺伝子治療よりも臨床に近い種類のもの」と述べているが、これは要するにこれまでの遺伝子治療がうまくいっていないというだけのような。また、別の研究者のコメントとして「腸内細菌を置き換えるのと似たようなもの(なので安全性、倫理性の問題は小さい)」というのが紹介されているが、これはもしかすると細胞共生説を念頭に置いているのでは?