備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

科学技術社会論学会一人反省会メモ

 自分の発表は予想外の時間オーバー。3段階目までストーリーの展開を用意していたが、2段階目で締めることになる(*)。後で質問・意見のあった方にだけ3段階目のスライドを見せた。予稿集の最後の段落と関係する3段階目が欲しい方、(その他)スライドファイルのご希望がもしあれば連絡下さい。
 コメンテータをすることになった人工知能表紙「問題」を巡るセッションでは、次のことを言おうと考えた(が、時間がなくて(2)だけ)。
(1)時代状況や現状認識をどう捉えるかの視点は? 自分は女性差別があった時代(たとえば後で知ったのだが「女は博士課程に行かなくても良い」と言うような先生がいた時代)を過ごした。差別で得をした側にはよくあることだが、当時は意識していなかった。今、当該の領域では、どうなのだろうか?
(2)そもそもここで「問題」と言われていることは何なのか。「政治的に正しい表紙の作り方」へと問題が矮小化されていないか。もっと根本的な問題があるはず。問題を広く捉えれば、「解決」には、多様な価値観を持っているであろう研究者候補をエンカレッジすることなども含まれるのでは。
(3)「問題の限定的定式化」→「解の発見」という(もしかすると工学的?)思考だけで片付かない「問題」があるのではないか。
 自分の発表と同じセッションの他の2つの発表が、どちらもものすごく面白くて勉強になった。アイヌ遺骨返還問題なんて「生物学史」マター。
 セッション以外では、前から欲しかった某非売品資料を入手できることになったのが、もしかすると最大の収穫。
(*)1段階目はdual useの「新しい意味」と「古い意味」の違い。2段階めは「新しい意味」の背後にある2つのストーリーという仮説。3段階目は、dual useという古くて新しい概念が浸透していくことの現代的意味。