備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

計画通り進まないこと

 先日少し研究時間がとれたので、とりあえず昨年度の「科研」報告書を書きました。自己評価によって進捗を回答するところでは、(1)「当初の計画以上に進展している」(2)「おおむね順調に進展している」(3)「やや遅れている」(4)「遅れている」から1つだけ選ぶ必要がありますが、ここが一番迷います。やったことを文章で書くことはできても、選択しろと言われると難しく感じます。計画自体が曖昧だからと言われればそれまでなのですが、始める前にはわからないことも多いし、やろうと思ってできていないことがあると同時に別のことができているということで、迷ってまた無難に(2)にしてしまってから少し考えました。
 もしかすると、研究時間が十分とれないと嘆いている研究者は、ここの記述でそのことを明確にすべきかも知れません。国家研究予算によって行われている研究が順調に進んでいるかどうかの客観的な根拠の一つになりうるからです。たとえば、年々(3)(4)の割合が増えているというデータが出れば、研究環境の悪化という問題が理解されるのではないでしょうか。「突然研究室の引っ越しを命じられたので研究が予定通り進まなかった」(大意)と、科学技術振興機構のサイトにも公開される報告書に正直なことを書いた同僚某氏は、正しいことをしたと言えます。また、この調子だと私も今年度分は似たようなことを書きそうな気がします。
 日本における論文生産の減少については、既に下記のサイトに詳しいです。もちろんこれも十分に研究環境の悪化を示していると思います。
 http://blog.goo.ne.jp/toyodang/e/26f372a069cbd77537e4086b0e56d347