備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

あなたはスマホであり、スマホがあなた自身なのです。

 職場最寄り駅の改札を抜けてすぐに曲がったところにある階段を上ろうとして躓いた。そのとき私の右手は、全身を支えるために手のひらを床に付くのでなく、握ったスマホを床に打ち付けないよう、甲の側を床につけるよう手首をひねった。とっさに守ろうとする場所が、その人にとって最も大事なところに違いないとするならば、私自身にとって最も大事な場所はスマホであり、すなわちスマホが私自身といっても良いだろう。

 急いで次の時間の授業に向かおうとして前の時間の教室にスマホを忘れて出て行き、エレベータを待とうとして持っていないことに気づいて引き返して取り戻した。そのように信じていたが、先のように考えると、実際のところはスマホが私を呼び寄せたのであり、有機体である私の身体はスマホが自らを維持するための乗り物に過ぎないのかも知れない。