4月になると大学では新入生を中心に「第二外国語」という言葉が飛び交う。今でこそ多くの大学で第二外国語は必修でもないし、また第二外国語は大学生だけの専売特許でもないが、かつては小学生と言えばランドセルというくらいに、大学生といえば第二外国語だったはずだ(*)。
ソ連のアフガニスタン侵攻を受けて日本がモスクワオリンピックをボイコットした次の年に入学した私も、ロシア語に触れるのを楽しみにしていた。
中でも3年生のときにドストエフスキーの『白夜』を読んだのをよく覚えている。古い図書館の3人しか学生のいない教室で、安井先生(**)は、低いけれどもとても通る声で、気持ちよさそうに『白夜』を朗読した。訳読の授業だったが、リガの街がいかに美しいかなど、ソ連文化情報をいろいろと教えてもらった。
今年全国の大学でロシア語選択者がどうなっているのか、ちょっとだけ気になる春。
(*)ドイツ語というだけで学問の香りがする、みたいなことを新井素子がどこかで書いてた(記憶あやふや)。