備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

現代思想 2020年11月号 特集=ワクチンを考える

寄稿させていただきました。

青土社 ||現代思想:現代思想2020年11月号 特集=ワクチンを考える

昨日の朝、恐らく肩こりから来る頭痛でうなされて、一切仕事をしない日にしようと思いましたが、夕方になって調子が出てくると、メールが来たり、急いでいたことを思い出したりして、仕事をしてしまい、今年最初の仕事をしない日は幻に終わりました。国内のCOVID-19感染者が急増している現実、築20年マンションで次々に立ち向かってくる不具合からは適度に目をそらしつつ、肩こりには任天堂リングフィットで対抗し、生きていこうと思います。

斎藤光『幻の「カフェー」時代 夜の京都のモダニズム』では、工学院大学図書館所蔵の今和次郎コレクションのスケッチがカラーで収録されているのを見つけました。ご恵投ありがとうございます。

川端裕人さんからは『「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論』をお送りいただきました。色覚多様性は、もともと病気や障害の社会性という観点からずっと少しずつ気になっていたテーマですが、近年の遺伝学的な知識とともに日本社会における新しい動向も踏まえて幅広く書かれていて大変勉強になりました。

マイケル・ムーア監督のSiCKOの内容を次々に紹介していく某先生の授業スライドを見てしまったがためにNetflixで探したところ、大統領選のタイミングだったので「華氏119」を見つけて観てしまいました。

来年度編入関連の書類を見るのが今年は何だかすぐに終わって楽だと思いましたが、外国の大学の書類がないからと気づきました。残念なことです。

シンポジウム「放射線防護とは何か〜ICRP勧告の歴史と福島原発事故の教訓〜」(2020/09/13)メモ

「市民参加の3つの問題点」シンポジウムで学んだこと、重要だと思ったことを勝手にまとめてメモしました。
(1)ステークホルダー的世界観:市民を「巻き込む」ということが言われ、市民がステークホルダー=関与者としてアジェンダ作成に参加できるのは良いことだと言わることがあり、専門家だけでなく市民も声を挙げることが大切だと言われることもあって、同じテーブルについてフラットに議論することが良いことだとされることがある。しかし、そのときに、既に被害者である市民と、加害者である国や企業(この場合であれば東京電力)が、そもそも同じ立場でステークホルダーとしてフラットに話し合いができるとして良いものかどうか。加害者・被害者であるという履歴が忘れられてしまうことに繋がるのではないかという問題がある。もともとステークホルダーという言い方は、それぞれの立場性を持った上での関与者ということであるはずなのではないかと思うが、それが隠蔽されてはいけないということ。
(2)市民の連帯の様式:市民と言っても個人の集まりであること。市民が組織化されることによって力を持つことは、実際に何かを成し遂げるのには重要である。(この場合であればICRPに対して、大きな声としてその方針を左右すること。)他方でその一律性が、必ずしも一枚岩ではない市民の内部で強制性に転化する恐れがないとは言えないこと。あくまでも個人が重要であり、意図や目的を共有してたまたまゆるやかに集まった団体であるということを忘れない方が良いということ。
(3)批判的専門性:市民と言っても、非専門性を強調するだけではなく、専門家を巻き込んで組織化する必要があること。現在のままでは、推進派の科学者は軍隊で、反対派の科学者はゲリラなので勝ち目がないという表現があった。専門家はその領域を推進するがゆえに専門家になるということを考えると、そのとおり。批判的専門家はつねに少数派でしかありえない。専門性と非専門性の非対称だけではなく、専門の厚みにおける非対称性を区別して自覚する必要がある。その非対称性の克服には、被曝しない権利=避難の権利の強い正当性の主張と避難者に対する広範な社会的支持が必要になる。難しい。

www.shiminkagaku.org

時差

生活世界の実験室化 データに尊厳はあるか
『生物学史研究』2018 年 97 巻 p. 35-48, 公開日: 2020/09/08
 
3年くらい前に書いた文章がネット上で公開されました。
大学は健康診断で、いつもより少し多い学生がいます。私はここに来て、ちょっと夏バテ中かも知れません。

(報告)BSL-4 実験室を巡るコミュニケーション : 日本における国立感染症研究所の事例

標記のような文章を発表させていただきました。

https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/79098

地味ですが、感染症研究政策、公衆衛生政策、地方行政、住民自治などに関する重要な問題と理解して取り組みました。

楽しくない方の科学技術コミュニケーションの話題です。

誰も他にウォッチしないだろうが、それで良いのか、というのが研究動機です。

COVID-19 の話はまったく出てこないです。念のため。

東村山じゃなくて「武蔵」村山です。