ちょっと前の話だが、夜中にテレビの通販番組をたまたま目にしたところ、暗算に強くなるビデオ学習教材の紹介をしていた。例によって海外の番組に、声だけ日本語をあてたものだが、一体全体具体的にどのような教材なのか最後までよくわからなかった。
にもかかわらず、宣伝文句の力強さだけは印象に残った。この教材のおかげで給料が上がった人や、就職できた人が次々に出てくる。また圧巻なのは、教材利用者に暗算をやらせるところだ。
「やあ、ボブ。ちょっと問題を出してもいいかな。暗算で答えてくれるね。」「ああ、いいよ。何でもどうぞ。」「じゃあ、いくよ。３２８５０９の三乗根は、いくつかな。」「えーと、６９だね。」「大正解！」あまりよく覚えていないが、こんな具合だ。
本当にこの謎の教材で暗算ができるようになるのか、できたとして得になることがあるのか、そしてこの教材を買う人がいるのか、日本でも買う人がいたのか、せいぜい１００年というはかない生涯において標準的な人が三乗根の暗算を求められる機会はいったい何度くらいあるのだろうか、とても気になる。
