備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

古い劇場アニメから

 3歳児になった元2歳児を、新宿まで電車とバスを使ったお散歩に連れて行って帰ってきてから、お昼ご飯のサンドイッチを作りつつ何となくテレビをつけたところ、劇場版のアニメ「タッチ 背番号のないエース」(1986年)が、高校1年生の県予選決勝戦の日という場面だった。
 この作品自体はおそらく初めて観るものだが、こういう古い青春物というのは違和感なく今の若者に伝わるのだろうかと疑問に思うところが常々あったため、今だったらどこがどう違うかを考えながら、音を聞きつつときどきながめていた。
 球場のスコアボードが電光掲示板じゃなくて本当に板だったり、公衆電話が懐かしい種類のものだったり、忘れ物があったら携帯電話で呼び出すだろうと思ったりしながら観ていたのだが、(はっきり表現されないものの)主人公の一人の高校1年生が交通事故にあって即死したと見られるシーンで、今だったら臓器提供意思表示カードの有無を確認しているかも知れないなどと考えてしまい、私の想像はそこで終わった。
 その時代の日常であるようなもの(こと)は、フィクション作品の何気ないシーンに、それほど作者も意識しないで描きこまれる。それが日常になることはあるのか、それはそのときどのように描かれるのかということを考えないではいられなかった。