備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

早期退職勧告トラップ

 学校で働く教職員の労働条件を変えるのはもしかすると簡単なのではないか、と思ったことがある。その条件をのまなければ結果として学生・生徒に被害がおよぶような(およびかねないような)形で、管理者が変更の提案をすればよいのだ。学生・生徒をかわいいと思う教職員(普通は多くがそう思っている)は、その条件を飲まざるをえない。もしそうしなかったら、まず心苦しいし、さらに外から非難を受けることにもなるからだ。そもそも、学校教職員は、学生・生徒かわいさに、自分で自分の首を絞めている。教職員の管理者にしてみれば、そういう学校教職員の性質を利用しない手はない。しかし、そういう罠を頻繁に用いるとしたら、それは長期的に見て本当は学生・生徒のためにならないことも確かだ。
 3月末に定年となる埼玉県の教員等が、退職金条件が変更となる前の1月末に駆け込み退職したニュース(というよりそれに対する反応のニュース)を見て、そのことを思い出した。ちなみに、定年より早く仕事を辞めたら退職金が多めに出るという条件の提示は、ふつうは早期退職を勧告しているとしか思えない。それに従うと非難されるとは、何というトラップ。