備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

独学

 「蘭学」「洋学」のことに授業で触れたら、「独学」という言葉もあったのかという質問を受けた。
 「独逸学」という言い方は確かにあって、それは「蘭学」が「オランダ語を通じて西洋の諸学問を取り入れること」を意味したのと同じような意味で用いられていたらしい。(たとえばここ)ただし、どうやら「ドイツ語を通じて西洋の諸学問を取り入れること」から「ドイツ文化について研究すること」へと意味が変わっていくようで、前者の意味で用いられていた期間はそれほど長くないかも知れない。
 また、「蘭学」や「英学」のように、国名漢字一文字だけを用いて、紛らわしい呼称の「独学」と呼ばれたこともあったのかどうかについては、よくわからなかった。たしかに、後世の歴史家が「独学」という表現を用いることはあるが(たとえばここ)、幕末や明治初期にもそういう言い方があったかどうかまでは?  青木東江/著 忍藩洋学校『横文字独学 : 英学之部 初篇』(1871)という書籍題名も見つけたが、このときの「独学」は「独逸学」の意味ではなさそうだ。
 日本独学史学会が『日独文化交流研究』という雑誌を出していることを知った。時間があれば調べる、か?