備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

ふるさと納税はじめました

 まずは岡山県真庭市からです。「ひるぜん果実ジャムセット」が届きました。3日前に振り込みしたばかりなので、たいへん迅速です。

 このように、ふるさと納税は、税金を受け取った自治体からくる「特産品」がよく知られています。また「ふるさと」という名前にもかかわらず、納税する自治体は国内で自由に選択できます。そういう意味で、既にふるさと納税制度は、実施の意図を大きく超えて動き始めています。
 ふるさと納税は、自分が住んでいる自治体以外のところに振り替えて納税できる「納税者の権利行使」と言えるでしょう。「手数料」が2000円かかり、納税額に応じて上限金額はあるものの、自分の住んでない別の自治体に納税できるというのは、「納税の自由」が大きく拡大されたことになると考えられます。これは、どのような意味を持つでしょうか。
 住民票のない自治体であっても、その人が大きく関係している自治体はあるでしょう。現代人の生活圏や移動範囲は通常、複数の自治体にまたがるからです。そういう意味で、人を一つの自治体にしばりつけない、移動の盛んな社会にかなった制度であると言えます。
 また、どこに税金を払うかというのは、その人の意思表示でもあります。自分の住んでいる自治体に払う税額を少なくして、別の自治体に払うことになるからです。例えば私にとっては、大規模世界運動会に大金を注ぎ込む「都」や、借金を踏み倒そうとしてさらに借金の利子を膨らませて裁判に負けた「区」に対する抗議の意味を持つかも知れません。また、自分の思想信条にあった首長のいる自治体を応援するという考え方もできるでしょう。いずれにしても、「ふるさと納税」は、政治的な意思表示という意味をもつ制度だと考えられます。
 ただし、居住する場所で納税するというのが地方自治の基本的考え方だとすると、あまり拡張すべき制度ではありません。また、高額納税者に、税金の収め先についてのフリーハンドを与え過ぎてしまうと、所得の再配分を妨げる可能性があるという想像も可能です。(参考:「"独立"する富裕層」
 昨年まで手続きが面倒で挫折していましたが、今年はクレジットカードで納税可能な自治体を一覧できる下記のサイトを見つけました。(こういうサイトがあれば便利だという「ビジネスモデル」には私も気づいていたので、きっといつかできるだろうとも思っていました。というかサイトをよく見たら、経産省の今年度の支援事業じゃないですか。)
http://www.furusato-tax.jp/
 ジャムの写真もこちらにあります。上の写真は、納税証明書を送ってきた封筒です。
 授業は3週目に突入。これからが大変です。