備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

小論文の採点1

「小論文、コンピューターで自動採点 入試センターが試作」というニュース。
http://www.asahi.com/national/update/0215/019.html
 小論文の点数は「採点者によるばらつきが出やすい」ということだが、これは採点の「アルゴリズム」が複雑だということを意味しているのではないだろうか。だからまずコンピュータには、他の科目、たとえば解答の論理的な構造が明確な数学や物理、あるいは解答の多様性が比較的少ないと予想される世界史や日本史の論述問題に挑戦してもらいたい。それが開発の順序としても正しいだろうし、(もし開発が成功したら)大喜びする人は案外多いはずだ。少なくとも私の周りでは、多くの人間が苦労して数学や物理の記述問題の採点をしている。ただし実際のところは、それらの科目の採点も簡単に機械で代替できるものではなさそうだし、同様に小論文のコンピュータ採点など当分のあいだは無理だろう。
 ちなみに今ではもう忘れられているかも知れないが、大学入試の小論文試験というのは、共通一次試験の導入と同時に始まったもので、マークシート式のテストでは見られない能力を見るという意図に基づいていた。それを考えると、コンピュータに採点させるというのはおかしな話だ。きっと大学入試センターは、面接試験も将来はロボットが担当すればよいと考えているのだろう。